勝手な対談、我がまま討論
ハイロ観客によるトークを記載(不定期更新)
●2019年5月12日ハイロフリースペース坐トーク
リライト責任編集:マエダ・シゲル
上映集団ハイロでは、上映終了後に観た作品の感想印象批評を作家観客を交えて話す坐をもうけています。
作品ごとに色分けされた用紙に作品の感想印象批評を書いて箱に入れて進行役のほしのさんとYooさんがジャンケンで無作為に手にした用紙を読み上げながらトークを進めてゆきます。
直後に直接言葉にする難しさ緊張感が緩和されてリラックス効果を生みながら映画の話が交わされてゆきます。その様子を感じて頂ければ。
「勝手に対談、わがまま討論」の進行に使わせていただきます。
トークは次回のハイロ小冊子に対談討論の様子を掲載したいため録音許可の承認をお願い致します。匿名希望の方はおっしゃって下さい。
ほしの(以下、☆)お客さんいないね。
柴田(以下、Yoo)すいません。告知が回っていませんでしたね。
☆ 君のせいなの。
Yoo ハイロのメンバーとして私も責任あります。
☆ でも、こういう時に来てくれるお客さんって貴重だよね。
Yoo 大事にしたいですよね。
☆ 帰っちゃったよ。はい、ということで二人でやることになりました。で、これを引いて(感想批評の書かれた紙)読むんだよね。じゃぁまず誰が引くかじゃんけんで決めよう。
☆ Yoo じゃんけんぽい、相子でほい。(場内から笑い)
(☆さんの勝ち)
☆ 俺が読むの…「亡くなった人がいなくなるとは……想いの雫、天に昇って雨になって戻ってきます。そう信じています。」
Yoo て、私の映画なんですよね。
☆ 君が書いたんだ。
Yoo そう。(場内大爆笑)運良く私の引いちゃった。もしかしたら読まれなかったかもしれないのに。
選んだんじゃないんですよ。見ませんでした。
☆ 「亡くなった人がいなくなるとは想いの雫、天に昇って雨になって戻ってきます。そう信じています。」
Yoo あれね、うちのオーストラリアの旦那様のお父さんが急に亡くなったの。
☆分かんねぇよそんなの。あの船に乗ってんだろ、遠くに君の好きな自衛官。
Yoo 会ってないんですよ。あのぉー戻ってきたんですよね防衛省に偉くなっているんですけど、会ってません。(場内から笑いが…)
☆ どうするの
タケヒロ(以下、タケ) バケツかなんか持ってきていらないのを燃やしましょう。
Yoo 凄く恥ずかしくなってきた。
タケ 今さら
(場内大爆笑)
☆ 次いっていい、次いっていい。
(じゃんけん)
Yoo 勝っちゃった。
☆ 「全く意味が分からず面白いとも思わなかったのですが、トークを拝聴して普段如何に分かった気になれる物にしか触れていないかが分かりました。」…匿名希望。…あー良いじゃないですか。
Yoo ブルーですね。
☆ ブルーって何だよ。
Yoo ブルーは大房さん。
☆ 大房さんの追悼上映?「意味が分からず面白いとも思わなかったのですが、トークを拝聴して普段如何に分かった気になれる物にしか触れていないかが分かりました。」…匿名希望。凄い匿名さんだよね。
Yoo もったいない。
☆ もったいない?
Yoo 匿名がもったいないですよね。
(徐々に場内から笑い)
場内 それは名前を出さないでってことだから。
☆ 俺、負けてる。
Yoo だって名乗って欲しいじゃないですか。ねぇ。
☆ そうだね。でも、拒絶しないでなんか入ろうとしているのが良いよね。こういう人がカメラを持つと、いずれ『枝毛を探す女』になるかも知れないね。
☆/Yoo じゃんけん…
Yoo 『アウトサイダー』、「格好いいセンスの音と映像、初めての告白、ドラマの幸福という印象で微笑ましかった。」
☆ 誰?
Yoo Yooちゃん。
☆ 君じゃん。お前自分のしか…
Yoo これは私が引いたんじゃないんじゃないですか。
☆ 俺が引いたんだ。「格好いいセンスの音と映像。」確かに映像凄いよね。音も凄いよな。初めての告白って何?
Yoo 沈黙
☆ 『アウトサイダー』、「格好いいセンスの音と映像」、ここで終わってるんだ。『初めての告白』…あー、繁田健司さんの作品ね。
Yoo Yooちゃんですよ書いたのは。
☆ 君が書いてるんだろ。
Yoo 君って言ったらダメなんでちょ。
☆ ちょっと待ってよ。五十のおばさんに「ダメなんでちょ」って言われても、そうだちょ。「ドラマの幸福という印象で微笑ましかった。」繁田さんどうです。
繁田 はい?
☆ 「ドラマの幸福という印象で微笑ましかった。」
繁田 ドラマが幸福なんじゃないですか。
☆ でも「ドラマの幸福」だよね。確かに独特なねえ…
繁田 一発目でフラれたって分かりました?
☆ はい?
繁田 エンディングが二つ入っていて一つ目はフラれている。
Yoo AとBタイプ。
繁田 Aでフラれたって分からない人が結構いるんです。
☆ 分からない。
Yoo 四、三とかやって、えっとかなって。…あれフラれてたんですか。分かんない、うれしそうな顔をしていたから。
繁田 堅い顔をしていたでしょう。
☆ 驚いた顔はしていた。吉住君がいなくなると思ったら、いなくならなかったから驚いたのかと思った。
Yoo 私は思いもよらずに良いのかみたいな
☆ そうそうそう、だから何でABなんだよ。
Yoo あそこでワーッと泣いてえーとか言うと分かるけど。
繁田 そこまで外堀を埋めてもフラれてしまったという設定ですよ。
☆ 分かんない分かんない。
繁田 分かんないですね。
Yoo あのカツラが良かった。
☆ カツラ?誰の
繁田 吉住君のあの部分の部分の。ここだけなんですよピンで留めて。
Yoo あれイヤミ系(おそ松くんに出てくるキャラクター)じゃないですか。
☆ よくずーっと作るよね、ああいう映画ね。
Yoo どんどんコンテニュウして下さい。
☆ うん。でも何だろうあれ。あーいう事をやっているから現実では結婚できないのじゃないかね。
Yoo ほんとはしてたんじゃないんですか。してるんですよね。
繁田 してないですよ。
☆ 本当はしてるって上さんがいるって。ちょっと今日仕事だからとか言ってセーラー服女の子に着せてるの?(Yoo そう)辞めようよそういう想像。
Yoo 意外とモテそうじゃないですか。
☆ ただいま、子供が「それなぁに」って、「ちょっとね」ってセーラー服の入った袋を隠したりして。
Yoo あなた何これ、だれの物にしかなの、
☆ どんどんつまらないドラマになっていってるから。謎の繁田さんの実生活が段々分かってきた。だけどさあ、あいつさぁ、こうやっていつか死んでいくんだろね、どうなるんだろうビデオテープの山。
Yoo あれだけスタッフの方がいるんのだから伝承される方いらっしゃるんでしょう。
繁田 いやいませんよ。これで終わりですよ。
☆ さっき聞いたんだけど新しいセーラー服が出たじゃん、あれは福井県にあるセーラー服を持っているグループの人たちがいるんだって。で、それを借りたんだって。
繁田 白のセーラー服が福井県の専属のグループのセーラー服で名前が「彼女」。俺の所蔵は「君」って言うんで、これは夢の共演をしたかったんです。
☆/Yoo じゃんけん
☆ マエダさんの作品。「見れば見るほど作家と距離を感じました。」と言うのは、あんたダメって言ってるんだよね。
Yoo いや分かんないですよ。聞いてみたいですね。(場内笑い)聞いてみましょう。
木村 木村です。
☆ 木村さんの先輩のマエダさんなんだけど、ダメって言ってるの?
木村 ダメなんですかね?
☆ いやいや。確かに身近に感じられないとか、入り込めないとかいうのはある、俺は。
木村 見ているとどんどんどんどん遠くなっていっちゃうんですよ。…なんで鞄に入れた(カメラを)状態で音がして閉ざされた状態で音もよく聞こえない、パーと開いたけれど何もない。
☆ 開いた瞬間ワーッと気持ち良くなるけれど…
木村 気持ちよかったけど、その後何もないですよ。いきなり気持ちの悪い目のアップを見せられて…
☆ あれ凄いよね。
木村 あんな爽やかな音なのに、あんな気持ちの悪い目。
Yoo 私あれ好きだったけど、気持ち悪さが。
木村 どんどん私は作家は作品では距離が出来てきて。最後、星空眺めているような感じで見てました。
☆ 感情移入は俺確かにできなかったな。作家が何かやったんだよな、ボソボソ言ってんだよな、分かんないな、ねぇ。
Yoo マエダさん中では一番好きでした。
☆ ああそう。
Yoo タンポポより。
☆ ああ、そう。俺ここでタンポポ出てくるのやだなぁって思ってたの。出てこなかったね。
Yoo 新鮮でしたね。
☆ あれ海浜公園?
マエダ そうです。
☆ そうだよね。なんとかヒネモス?
マエダ ネモヒィラ
☆ いっぱい咲いてんだよ。
Yoo すごい綺麗ですね。
☆ 実際に行ってごらんよ、もっと綺麗だから。
☆/Yoo じゃんけん…こんなこと一時間やるの。
Yoo やりまーす。
Yoo 『イッテキモンデ』
☆ マエダさんの作品だ。
Yoo 「自由に作ることの息苦しさを見た気がします。」
☆ 誰?
Yoo マルトモさん。…あ〜明美ちゃんか。
☆ なんだ。何か付け加えることありますか。
マルトモ 特にないです。
☆ 確かに自由に作ることって、比べるものが無いからね、あるいはこういう風に作るという指標が在るわけではないから、どう作っていいか本人も分かってない。大房君の作品なんかは正にそうなんだけれど、どうやって作れば良いのかが分からないから、自分なりにもがくしかない。そういうことって確かに見る方も比較したり指標になるものが無いから息苦しくなるというはあるかもしれない。マエダさんどうです。
マエダ おっしゃる通りだと思います。初めてで8ミリではないデジタルカメラで自分が何に出会って手探りですけどやりたいというか見つけたいというか思いで作ってます。
☆ イッテキモンデって何
マエダ 鹿児島弁で「行って来ます」という意味です。
☆ 行くんだ。更に息苦しいところに行くんだ
☆/Yoo じゃんけん
Yoo「自分が好きで絵を描くのは一人で、だけどこの映像は大人が何人も出て来て皆付き合って一緒に歩いてくれるんだと思った。何か凄いことに思えた。」匿名さんです。覆面上映。
☆ 普段みんなが勝手に映画を作って上映の時だけ一緒にやっているから、この時は皆で一緒に作ってやりたいなというのは最初に言って、こういう狙いなんだというのは最初に伝えて、後は勝手に歩いてくれれば良いし、カメラがここがスクリーンだからスクリーン見てくれればいいし、でそこで何をやるかも勝手に自分で考えてやっているから、そういう意味では一緒に作っている感じは在ったよね。
(Yoo うんうん)…でも皆格好良かったね。大房君格好いいし、関根君、君の亭主、神山さん…
Yoo 浅野さん、足立さん、ほしのさんも格好良かった。
☆ 君は何でマスクなんてしてたの。
Yoo インフルエンザかおたふくか風邪をひいていたんですよ。
☆ この企画、全部終わった後にペンキでスクリーンを黒く塗って、そこがこの作品の一番のポイントなんだけど、結果どうだったかって覚えてないでしょう。
Yoo どうなったんですか。
☆ 黒く塗ったんだけど光は見えたんですよ。光の勝ちなんです。映画の光と影、光は強いんですよ。
Yoo あるんですかその映像。
☆ そりゃパフォーマンスだから。
Yoo 誰か撮ってなかったんですか、その様を。
☆ 当時は記録映像で残すなんていう嫌らしさはなかったよ。その時一回こっきりとういのがパフォーマンスだから。
Yoo フェストでやったんでしたっけ。
☆ 特別企画ね。
Yoo 私、おにぎり作っていて見てなかったかもしれない。
☆ お前、何かあるとおにぎりの所為にするなぁ。
☆/Yoo じゃんけん
Yoo「柴田さんの作品としては珍しく体感時間が短かったのですが何分の作品だったのでしょう。」田中さ〜ん。
繁田 田中です。10分と聞いて凄い短いなと思って、
☆ 君、田中さんなの。
繁田 本名を書きたくなかったので、
Yoo ニックネームが田中さんなのね。
繁田 そうそう、で10分であれだったら凄いなと思ってリアル時間が気になって。いつも正常な時間の1.5倍増し位に体感時間があるもので。すいません。でもあれ10分だったらと思ったら凄い感激したんで。
Yoo ありがたいお話ありがとうございます。
☆ 実際は何分だったの。
Yoo 3分。
☆ 3分!
Yoo 実は最初43分も作ってしまったんですよ。まずいなって何回も何回も見直して凄く好きなところだけ残したんですよ。でもこれ少し続けようと思って。
☆ いいよ。お前、続けようと続けまいと皆同じだからいいよ。『曇り雨の雫』っていいタイトルだけど、俺、柴田容子という人物を知らなければどんなに幸せな人生かと思う。だってさ、お前の映画いつもタイトルがロマンチックでさ、でYooとか言ってさ、花がきれいきれいでさ、凄いきれいな映像見せてさ、どんなに素敵な女性だろうってずーっと想っていられるのに、はぁー。
Yoo 普通そうなんだぁ。出てこない方がいいですかね。で、しゃべらない…
☆ でも良かったんじゃない。俺が書いたのはね柴田容子の「無駄毛を探す女」。
☆/Yoo じゃんけん
Yoo 『イッテキモンデ』。「最初の展開から画面が消えてその後の展開が期待。今日二番目に面白い。」
☆ 誰?…君じゃないか。質問今日二番目に面白いって一番目は何?
Yoo ハイロの
☆ ああ俺の。覆面上映。『曇り雨の雫』じゃないの。
Yoo 今日見てダメだと思いました。
☆ どういうところがダメなの。
Yoo もっと愛情を持っていないと、粗雑だったなと。
☆ でもあの距離感というのは、例えば木村さんの距離感というのは凄いグアーットっと、もう他の人なんていない、私だけとこれだけ、宇宙はこれでいいっていう、そういう怖さがあるんだけど、あんたのは、ほわっとしていてお花光とか、そういうのはあると思う。もう少し長いといいなとは思うけど40分は長いしね。で、やり切れないだろうから、それは次に何がやり切れなかったのかを考えて次やればいいんであって、タイトルは毎回気に入っている訳だから、頑張って続けてやりなさいよ。…『イッテキモンデ』の話だよ。あの黒い部分退屈しなかった。
Yoo またマエダさんの生活感のある映画かなと思ったの。あの目の映像、ダリの「アンダルシアの犬」じゃないけれど、行っちゃて良いんじゃないかなっていう印象を受けたんですよ。マエダさんの気狂い的な部分をもっと出してしまって良いんじゃないか、
☆ 『苛立つ気配』というのがあったね。気持ち悪い唇とか、
Yoo 目があんなにセクシーとは思いませんでした。おじさんと思わなかった。
☆ あれ自分なんでしょう。(マエダ そうです。)
Yoo 決してグロ可愛くは無いけど、
☆ 確かにマエダさんの撮るアップってグロテスクだよね。綿毛もね。
Yoo グロさがかっこよくなってきた印象があるんですよ。
☆ もっと変態になれ。
Yoo もうそれで良いんですよね。脱ぎ捨てる。
☆ 緊張しいの頭はどんどん薄くなるぅの、もう居直って変態で行くうのぉ、どうでしょう?
マエダ はい!
☆ はいだって。最後の電車の手は奥さん?
マエダ 母です。
☆ お母さん
Yoo いろんなことを体験してきている手だなと思いました。あのつながり感のなさにもグロテスクさを感じました。求めて撮ってくるものがグロテスク。それを突き詰めてゆけばいいんじゃないでしょうか。
☆ 今日、君凄いね。冴えてるね。ちょっと大房さんがこの辺に憑いているような…
(30分)
☆/Yoo じゃんけん
☆ 覆面上映、…田中さん
繁田「個々の目力の差が面白かったです」と書いたんですけど。露骨に出てますからね。
☆/Yoo じゃんけん
Yoo 『イッテキモンデ』、…田中さん
繁田 一般映画だと手法的に黒からホワイトへあの描写で「核戦争」があったという描写はあります。またはピカで真っ黒。で次の世界はああなるよ、なってるよという方法論もあるという解釈をさせていただきました。
Yoo 映画通の方のコメントですね。
マエダ そう解釈するのは観客の自由なので。自分にはそういう意図はありませんでしたね。
☆ あの映画で核戦争はな、…確かに。一回目のハイロの上映会の時、森田芳光が学生時の彼がここに出してきた作品は「核戦争の危機」っていうコメントがあって、物干し台から洗濯物と空を写しているフィックスのワンカットの絵で、音楽が流れて「空よ」っていうレコードなんで針がプツップツッってしていてそこにタバコの灰がカメラのレンズの上にポタッて落ちて、そういう3分間の映画だった、それが「核戦争の危機感」だと、本人はね。俺そう言うのって田中さんの批評の含めてどうなんだろうって思うんだけど、山本さん、どう思います。比喩というか、
山本 多分田中さんの言ったのは「核戦争の危機感」を映画にする時のコンセプトの話というよりは、見知った約束事として、パッと暗くなってパッと明るくなった時に全く見たことのない展開があるという固定観念が自分の中に生まれた。多分、田中さんが言っている事はそういう事で、パッと明るくなったときに見たことのない風景が展開しているとういうのはよく見る映画の世界という描かれた商業映画の世界。僕は暗くなって明るくなってまた暗くなった時の展開は無茶苦茶気持ちよかったですけどね。
暗いところが長くてイライラするほど明るくなった時がカタルシスが生まれてね、また暗くなった時次何が生まれるか、是非『イッテキモンデ』お二人の意見を批評として受け止めて次に行って頂ければと思います。
Yoo 人気ですね。
☆/Yoo じゃんけん
Yoo「関根さんだけほとんど瞬きをしていなかった。意味を探しながら見ていました。」(覆面上映作品)匿名。
☆ 関根さんということを知っている人なのかね、この匿名さんは。あの時、関根さんが坊主にしていたのは誘われたのもあって暗黒舞踏をやっていた時期で肉体訓練なんかもやっていてね、それが生きていたのかも知れないね。…意味を探しながら見ていました。意味を探しながら見てしまうんだろうね。
そこに見えていることをそのまま受け止めるというは難しいからね。特にあの頃は、退屈さを辛抱するのがアートだ!みたいな。マエダさんのあの暗い画面がズーと続くのもそういとこから来てるからあれが簡単に5秒位だったらつまらない。
☆/Yoo じゃんけん
Yoo 「今まで思っていた映画が映画の中でほんの一部だったんだなと思いました。」匿名希望。
☆ これあの人だよね。「今まで思っていた「映画」が映画の中でほんの一部分だったんだなと思いました。」なかなか頭のいい人だよね。もったいないよあんなセーラー服着せて。もったいないって言い方はないか。あの人はどこの人なの。
繁田 女優さんをやっている方です。
☆ これで演技が変わると良いね。残念だね、いないのが。
☆ 繁田さんの作品。「フィルムからビデオ作品になってからはずっとつまらないと思っていましたが」、こういう人が必要だよね。もう一回読もう。「フィルムからビデオ作品になってからはずっとつまらないと思っていましたが、今回やっと面白いと思いました。」長かったろうね、この人。だってもう30年以上だよ。30年以上ずーっとつまらないと思って見ているというね。
Yoo 堪えていたんですね。
☆ 堪えていたんだね。俺今『おしん』見てんだは、
Yoo 堪えてますね
☆ 「作家魂が局地的に集まる場所がここハイロ。私的な実験はメディアの活力。99,9%がくだらなくても残りの0,1%が世界を変えるかも。」凄いこと言ってるね大房さん。2012年の11月に。だから
木村和代はずーっとつまらないと繁田作品を思いながら、やっとここで面白いに出会ったんだよ。
Yoo 良かった。スッキリしたでしょう。
☆ 「やっと繁田作品の面白さが分かりました。映画演劇なんですね。面白かったです。」面白いって三回も書いてある。
Yoo よっぽど今までつまんなかったんですね。
☆ 危険だよ。あいつ今度危険だよ。制服着せられるぞ。危険だよ。
Yoo いけそうですよ。
☆ 木村和代、実はああゆう格好好きなんだよ。やばいなぁ。次の作品は決まっちゃったよ。
Yoo 是非、是非、私見たい。
☆ やだぁ。俺のカワイイ木村和代がそんな風になるのか。
山本 確信を持って言えるのは繁田作品の女優さんは全員同じに見える。台詞のイントネーションとか全部同じでこれ演出力すげえなと。
☆ 憧れてんじゃない。
山本 でもあれは人間ではない。
☆ 人間じゃないよね。五つ数えて結婚するなんてあり得るわけないじゃないか、ば〜かってね。
山本 意味が分からないからやりとりとして成立しないから人間ではないと思いますね。だったら僕も演ってみたいなって。
☆ どうです。サイボーグひとみ。
Yoo 「変わらぬ日常を生きるのが人生。」
☆ もう一回言え、もう一回。
Yoo 「変わらぬ日常を生きるのが人生。集団で座して前を見つめるような同じ船に乗り合わせたように見え一時同じ船に乗っていた一人が船を降りてしまいました。」
☆ 大房さんのことだよ。
Yoo 明美ちゃんだぁ。
☆ 明美ちゃんだぁは知らないと思うんだけれど、大房さんが俺の「きのうゆき」という映画の批評をしてそれが当時月刊誌だった「イメージフォーラム」に載っていたんですよ、そんときの彼の言い回しが船に乗ってる、船に乗っているのは皆安心しているけれども、実は板子一枚は地獄なんだという言い方をしていて、でその奥さんが船に乗っているという言い方をしていて、夫婦だなあって。でもね、みんな一緒のようにみえていつかは一人一人になってゆくんだね。
☆/Yoo じゃんけん
☆ 覆面上映。「上映すること見ること空間の対峙を考えながら見ました。渋谷アピア懐かしい。木村和代。」結局俺のが一枚も読まれずに終わったな。
Yoo 書いたんですか。
☆ 書いたよ。
(終わり 60分)
夏のハイロ・フリースペース 勝手な対談、わがまま討論
●当日の「よろず屋コーナー」&「アンチ・よろず屋コーナー」について
話し手:山本大地(観客)/加藤照康(作家)/櫻井先生(作家)/安土実(作家) 聞き手:マエダ・シゲル
◆two sheep / 木村 遊 / デジタル・ビデオ / 1分 / 2015年
櫻井:羊が行ったり来たり、それだけで絵にするというのにセンスを感じます。
◆water surface / 木村 遊 / デジタル・ビデオ / 38分 /2016年
山本:見つめていることのできる水面というものが38分、というのは強い意志が必要だと思う。どこまで自覚的か。
◆after image / 木村 遊 / デジタル・ビデオ / 5分 / 2017年
山本:自然の偶然の動き、風景の方がCGより複雑で、だから面白いということだよね。
◆雅に風/柴田容子/DVD/約20分
山本:タイトルが意味するもの、神社をイメージするもの、自然賛歌をイメージするものを組み合わせて、簡単にイメージ化してしまう。それは最悪な政治的なプロパガンダなんです。
加藤:俺はそのストレートな部分を良いと思った。作品として面白ければいいんじゃないですか。
山本:批評的な部分がないでしょう、作品の中に。たまたまそうなったように見えてしまう。そこがダメな部分。
◆リボルビング・ハピネス/はしもとまきこ/DVD /10分/2017年
マエダ:発想は面白い。でもシナリオの文章上の表現以上の作品になっていないんじゃないかと。
山本:最初に計画されたものを実現するに留まったことで退屈さが生れても、一番記号的なシーンはセックスシーンだけれど、見過ごしても平気になりつつあります。やりたかったことに興味があるから。
◆闇景さんざめき/チーム・アナドルナ=鈴木所長、スナミマコト、ほしのあきら、音響デザイン=マエダ・シゲル/8ミリサイレント/17分/2016年
加藤:テーマが把握しずらくて、戸惑いました。絵はおしゃれで良いなと感じました
櫻井:手作業のコンセプト自体は興味をそそります。
山本:作品の出来上がりが見えない、ルール、強制、縛り、理詰めがあって、積み重ねの中で出来上がったものに出会って行く、という作り方は非常にエキセントリックな追及、欲望ですよね。
マエダ:大胆だけれど、とてもデリケートですね。でも失敗作ですよ、表層の部分では面白くなかった。
山本:いわゆる「映画」というより、目撃しているのは「出来事」ですね。だから崩壊もありじゃ!みたいな。
◆プログレ娘のリストカット/加藤照康/DVD/8分/2017年
マエダ:収穫といっていいのか、オリジナルの加藤さんの作品であること、非常に変な作品であることが嬉しかった。
山本:設計図からして「変」だから、いわゆる「映画」の想像的タイミングをはぐらかしているから退屈しないよね。
加藤:自分が笑って欲しいタイミングと、みんなが笑うタイミングが違うのが、なんか悩みなんですけど。
櫻井:その落差がいんじゃないんですかね。でも笑いどころはタイミングではありませんよ。
◆ある春の日の事/マエダシゲル/8ミリ サイレント/20分/2004年
櫻井:自分がきれいだなと思った風景を撮った、綴った、それだけでも良いと思いました。字幕が先、映像が先?
山本:常にカメラを持って日常を撮る、撮ろうとしている行為が語りかけて来るものと字幕の後付けがしっくりこない。無理に構成しようとする歪みが。でも、はっと感じてぱっと撮る、映像からその瞬発力は非常に伝わって来ます。
●「シバタの褒め殺し・ブリリアントな53秒コーナー」
山本:誰にも彼にも映像を撮らせてそれを見てみたい…変態的な欲望を実現してしまおうという興味。カメラを押し付けて強引に撮らせてしまう。柴田さんにしかできないですよ。ある意味ハイロのテーマを具現化してますよね。
マエダ:出品作について。安土さんの最初の53秒がスマホの女装の自撮りだったなんて…ご自分でいかがですか?
安土 :ちゃんとコンセプトを説明されれば映画好きだから。スマホ画像ではなく撮って考えたものを見せたかったですね。人が見るとか見せるとか感じが違いますよ。難しいですけど意識がね、変わってきますよ。
●ハイロの上映会について
加藤:意見を聞けるのが何よりも良い。他人の作品に意見を言うのが難しい。
安土:話してもらえることって、批判されたり同調されたりすることって、自分で分からないことに出会えるから大きいことですよね。良いことですよね。映像って何よりも見てみたいっていう「心の感覚」を揺さぶりますから。
山本:8ミリはハイキングだった手軽さが冬山登山をアタックする人の趣味、重装備になっている。昔とは違う。違うから生れる。そこを意識して活動するのは大切なことだと思っている。
(2017.8.6 .17:00~ at学芸大駅前某所)