瞬刊ハイロ

上映集団ハイロ

瞬刊

ハイロ

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2023年11月12日上映集団ハイロ、年内最後の上映が終了しました。今年のフリースペースに出品して下さった方々、イベントにご参加して下さった方々、本当にありがとうございました。

ハイロでは来年も引き続き2月・5月・9月・11月のフリースペースを実施します。貴重な作家を取り上げた八王子は南大沢から発信の特集上映「鬼シリーズ」、レギュラー企画と化した「断片映画祭」、第3弾は2024年5月3日（金）建国記念日に実施いたしますので、どうぞご期待下さい。

11月12日のハイロフリースペースに来られた佐藤隆之さんから上映作品についての短いレビューをお寄せ下さいました。ご本人の承諾を得て、以下に内容を引用させていただきます。

【2023年11月12日（日）ハイロ・フリースペース／プログラム】

1．マエダ・シゲル『11 2023・3』（2023, color, 22:30 min）

2．宙崎抽太郎『東京ウンコミイラ』（2023, color, 10:00 min）

3．寺嶋真里『決定版クラファン用予告編』（2023, color, 3:50 min）

4．ピーター・クレイ『Private』（2023, color, 8:22 min）

5．野良猫映画社　松岡徹『猫三題』（2023, color, 5 min）

6．宙崎抽太郎『マルドロールアゲイン』（2023, color, 15 min）

7．木村和代『合わない靴』（2023, color, 8 min）

8．ほしのあきら／横溝千夏『後ろ影が聞こえる』（2023, color, 25 min）※8ミリ作品

※特記以外全てデジタル作品

瞬刊ハイロ「ほしのあきら特集」がとてもよかったので「映像技術解体」を読んで、ハイロにも前田さんにも他のメンバーの作品にも興味を持った次第です。

上映で思ったのは、作品って何でもいいんだなぁ、暗闇でスクリーンさえあればなんでも映画なんだなぁ、ということ。

宙崎さんを持ち出すまでもなく、やはり個人が全面に出るのが個人映画なんだなぁと。

ほしのさんの「後ろ影が聞こえる」はたしかに物語性もバラエティにも富んで頭抜けたものがありましたが、ご本人が言うほど音(音楽？)が良いとは思えなかった。なんでも音響作者は画面を見ずに音を作ったとか。

確かにそのわりに画と音がピッタリ合う部分があって何か奇跡的なものが生まれたようでもあったが、そういったバックグラウンドのことは客にとってはどうでもいい事で、実際私にはその「手を替え品を替え」的音作りが、散漫に感じられた。

上映作品全体に、音がありふれた既視感たっぷりなものが多かったと思った。殆どの作品に「音のインフレ状態」を感じた。なにか、まるで画の悪さを補うか、あるいは画の良さを汚してしまうような蛇足的な。

そういう意味でも前田作品にはスッキリとした確信犯的なものを感じた。前半の車窓はまったく開き直ったもので大胆。たしかにナマズとのつなぎはびっくり。新鮮。脈絡がない、ということは一種の常套手段ではあるが、それがパワーを持ち得るかは別問題でそこはセンスなのか、何かの法則なのかと考えた。そして後半に延々と続く花火は幻想的。アウトフォーカスの花火なんて見たことがなかった。

「フォーカスとはなんぞや」と考えさせられた。

「木村和代作品」にマエダ氏は涙を堪えきれないようだったが、私もほぼ同感。どこまで「オヤジ殺し」を意識していたのかわからないが、あざとさは感じられず、作者に興味を持たされた。これがなにかのテクニックだったとすれば恐ろしいが、世間に蔓延る映像はさりげなく恐ろしいものばかり。

「王室」はCM映像の使い方など面白い部分もあったのだが、全体にあの手の映像はそれだけではただのそれで、タルコフスキーの「ストーカー」や山本政司の「ロビンソンの庭」だっけな、全体の文脈の中でこそ活きるのではないかと。

Peter氏の「Private」は狙いやコンセプトがわかりやすく悪くなかったが、ラストは問題になっていた「手」の存在よりも、なぜにただの「水」なのか、そこが気になった。画面やカメラの破壊まで行けばだいぶ違ったのではないかと。そうなれば、その訳知り顔を自ら否定するダイナミズムが現れたのではないかと残念。

私は大阪芸大時代に松本俊夫「映像の発見」や種々の実験映画に感化され、一度はイメージフォーラムも考えたのですが、職業助監督や職業監督を経て現在はドラマとしてのドキュメンタリー映画を作っています。何十年ぶりかのこういった上映会や作品の数々は、とても刺激的。原点に立ち返らされるような経験でした。

また見せてもらいに行きます。

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